9999/THE YELLOW MONKEY
19年ぶり、9枚目のオリジナルアルバムということで再結成してから約3年でのリリースとなった本作。LUNA SEAもフルアルバムのリリースは復活から約3年かかったし、やはりどうしてもそのぐらいの時間がかかってしまうのでしょうね。タイトルの9999は4人で4つの苦しみがあるけどそれも乗り越えていくとかいろんな意味や決意表明がこもっているのだとか。既発曲が7曲と多く、既発曲と新曲が交互に並んだ曲順となっております。6/7現在、CDのセールスは10万枚を突破しております。このご時世に10万枚はすごい。簡単にですが1曲ずつ紹介。
01. この恋のかけら
淡々と展開の進んでいくミドルナンバー。アルバム「8」に収録の「峠」に続く曲だとか。ギターのアルペジオも峠を連想させます。誰もが抱えているやりきれない思いを「恋のかけら」に例えたのであろうと思われる歌詞。シンプルで無駄をそぎ落とした説得力のあるサウンド、アレンジ。本当の意味でやっとTHE YELLOW MONKEYが帰ってきたと思った。こんな曲を待っていた。個人的にはアルバム中No.1の楽曲です。オープニングにふさわしい。
02.天道虫
シングル曲。攻撃開始って感じの2曲目。ザクザク切り込んでくるギターリフが最高に気持ちいい。まさに円熟味を増した大人の色気あふれるロック。
03.Love Homme
ロビンお得意のエロさ溢れるグルーヴィーな1曲。ベースラインが非常にクセになります。
04.Stars (9999 Version)
アルバムバージョンでの収録となったシングル曲。デヴィッド・ボウイを意識した曲で、影響がモロに出た1曲。テーマは「地味だけど派手な曲」だそう。
05.Breaking The Hide
3曲目の「Love Homme」がベースのヒーセが演奏をリードする曲ならば、この曲はギターのエマがリードしている1曲。後半の力強く駆け抜けていくギターソロからの流れが最高です。
06.ロザーナ
2017年リリースのシングル曲ですがとてもアルバムの流れにハマっていて、2年近くも前に制作された曲とは思えません。再結成で得た喜びを歌った曲のように思える、これまたストレートでシンプルなロックナンバー。
07.Changes Far Away
モロにクイーンの影響が垣間見えるバラード曲。
08.砂の塔
CDでもリリースされた復活第1作目のシングル曲。イエローモンキーによる歌謡曲とロックの究極の融合。ストリングスを大胆にフィーチャーしており、アルバム中では浮いた印象もあるが復活曲にふさわしい名曲です。個人的にはライブでは続けて「天国旅行」を演奏してほしい。
09.Balloon Balloon
前曲に続きキャッチーな歌謡ロック曲。本作では一番人気のある曲のように思えます。
10.Horizon
作詞・作曲ともにギターのエマが手掛けたシングル曲。ロビン以外が作詞を手掛けるのははじめてです。今までのイエローモンキーにはなかった、新しい風を感じさせる優しさ溢れるバラード曲。
11.Titta Titta
ノリのいいロックナンバー。ビートルズなどの古き良きロックを感じさせる曲です。
12.ALRIGHT
再結成発表後一番最初に公開された1曲。表記はありませんが一応アルバムバージョンでの収録のようです。
13.I don't know
アルバムの先行シングル曲。吉井和哉ソロの「HEARTS」を思い出させる、アルバムの締めにふさわしい力強い歌謡ロックナンバー。
14.毛皮のコートのブルース
配信版のみ収録されているボーナストラック曲。インディーズ時代から存在はするものの音源化はされなかった幻の1曲。ここにきて待望の音源化です。
総評:
全体的にグルーヴ感を全面に押し出そうとしたシンプルな構成の曲が多い印象。やはりそれぞれのソロ活動とは違う、「THE YELLOW MONKEYの音楽とは何か?」という疑問の結論がその結果なのでしょうね。アメリカン・ロックがテーマのようで、19年開いてしまったとはいえ、前作「8」の続きのアルバムと言われても全然しっくりきます。アルバム「8」収録の「サイキックNo.9」なんか特に今作の楽曲との共通点の多い曲だと思います。
復帰第1作目のアルバムとしては合格点には達しますが、「SICKS」や「8」などと並ぶ名盤とまではいかないというのが個人的な感想です。でも「この恋のかけら」だけでも3年待ったかいがあると思えましたし、3年かけてよかったなと。
今回、配信版のみCDには収録されていない「毛皮のコートのブルース」が収録されています。このような売り方は非常に残念ではありますが、個人的にはこの「毛皮のコートのブルース」まで含めて1枚のアルバム、イエローモンキーの復帰作という印象です。なんだかんだ長く付き合える1枚です。